授業概要/Course Description
日本の教育をめぐっては様々な問題点が喧伝されている。しかし、識者によるものも多くのコメントが没歴史的な観点から行われているため、必ずしも的確に問題を抉り出しているとは言えない状況にある。それではこれからの教育をどうすればいいのか、という未来を展望するための足場が定まらないこととなる。この授業では、問題史的に近世から現代までの教育史実を取り上げることで、先人の模索と成果(あるいは失敗)に学ぶ。
具体的には「なぜ学校にいかなければならないのか」、「学校はどのように地域に根付いたのか」、「近代天皇制と教育はどのように結びつき、何をもたらしたのか」、「教師は子どもとどのように向き合ってきたのか」、「子どもを取り巻く教育問題から何がみえてくるのか」という問いから考えていく。テキストをもとに、「現実」と取り組み合った子ども・親・教師・思想家などの姿をリアルに捉える。そんなタイムスリップと、彼等との出会いは、現在と未来に生きようとする我々にとって単なる「知識」ではなく、「知恵」や「活力」を与えてくれる。さらに「Exercise」として、受講者の身近な事例や現代社会に即した検討を加えることで、複雑・高度化していく現代社会と教育の可能性と課題とを考えることのできる力量を育んでいく。