近年、西洋美術史、特に絵画に対する一般の方々の関心が急激に高まっています。ビジネスマンや主婦向けの入門書もたくさん出版されているところです。この講義では、西洋絵画を中心として、毎回トピックを提示しながら「芸術」について多角的に考察していきます。日本では数多くの展覧会がいつも開催されています。なんとなく綺麗だなと感じるだけだったり、どういう場面なのだろうと疑問に思うだけだったりしたものが、この講義を通じて、より身近に面白く感じられるようになるはずです。
第二学期に当たる「芸術学Ⅱ」では、作品を見ながらじっくり感じたり、深く考えたりするタイプの授業と、美術と社会の関係を掘り下げるタイプの授業を交互に行っていきます。前者では、美術という芸術が持つ固有の要素「造形」(構図、線、色彩など)はどのように味わうのか、登場人物の視線や身振りがどのような効果を生み出しているのか、芸術家たちの発想源にはどのようなものがあったのかなどを詳しく解説します。
 後者では、どのような社会的背景からどのような作品が生まれてきたのか、作品に表れている社会の価値観とはどのようなものか、美術館などの芸術に関わる組織が社会でどんな機能を果たしているのかを考えます。
 最後に、絵画と彫刻、美術と文学、美術と音楽など、諸芸術の特徴を比較考察し、美術だけでなく様々な芸術、芸能を楽しむきっかけをつくっていきます。第一学期の授業を履修していなくても分かるように、授業の初めに第一学期の試験の解説を含めて、おさらいする機会を設けます。
 哲学科の1~2年生で美学・美術史を専攻しようと考えている方には、作品分析の具体的な方法があちらこちらに散りばめられているので、ぜひ履修をしてください。基礎教養科目の「西洋美術史」の授業とリンクしている情報がたくさんあります。併せて履修すると美術史の基礎的な考え方をマスターすることができるでしょう。